寒くなってくると、増えてくる乾燥のお悩み。とくに女性はメイクをすることも多いので、顔が乾燥してしまうと、メイクがうまくのらなかったり、化粧品などが刺激となって肌トラブルにつながる可能性もあります。
そこで今回は、顔の乾燥と保湿の方法をご紹介します。
顔はパーツによって乾燥のしやすさが違う!?
肌には、必要な水分を保持するための仕組みが備わっています。いわゆる「バリア機能」と呼ばれるもので、表皮(皮膚表面)を覆う皮脂膜や、角層(表皮の一番外側の層)にあるNMF(天然保湿因子)、そしてセラミドなどの細胞間脂質がその役割を果たしています。
このうち皮脂膜は、皮脂と汗とが混ざり合ってできています。そのため、汗や皮脂の量によって、皮脂膜の厚さは変わってきます。秋や冬になると、通常、発汗量や皮脂量が減少するため、皮脂膜も薄くなります。すると、肌の水分が蒸発しやすくなったり、外部からの刺激を受けやすくなって、角層内のNMFや細胞間脂質による水分保持機能も低下してしまいます。
ちなみに、NMFや細胞間脂質の機能は加齢によっても衰えていくため、一般的には年齢を重ねていくにつれて、乾燥しやすくなります。
さらに、皮脂の量は顔のパーツによっても異なり、皮脂腺が多い場所ほど、皮脂量の分泌量も増えていきます。鼻やおでこといった、いわゆる「Tゾーン」は、皮脂量が多い場所です。一方、目元や口元、頬などは、皮脂が少なく、乾燥しやすくなります。
また、冬になると唇の乾燥が気になる、という人は多いと思いますが、実は唇には皮脂腺がありません。また、角層も薄いため、唇はとくに乾燥しやすい場所といえます。
乾燥しやすいパーツに合わせて行う顔の保湿ケア
このように、顔はパーツによって乾燥のしやすさが異なりますから、それを踏まえた上でスキンケアを行うようにしましょう。
まず、クレンジングや洗顔は、乾燥しにくい場所、つまりTゾーンから行い、乾燥しやすい頬や目元、口元などは、手早く、時間をかけすぎないようにしましょう。ただし、ゴシゴシと洗うのは禁物です。クレンジング剤や洗顔料を優しくなじませるようなイメージで行いましょう。
また、クレンジング剤には、オイルタイプやミルクタイプ、クリームタイプなど、さまざまな種類がありますが、乾燥しやすい人は、季節に合わせて、使用するタイプを変えてみるのもおすすめです。一般的には、オイルタイプはしっかりメイクを落とせるものの、ミルクタイプなどにくらべて乾燥しやすくなりますから、肌の状態やその日のメイクの濃さに合わせて、変えてみるのも方法の一つでしょう。
そして洗顔後は、化粧水や乳液を使って保湿をします。乾燥が気になるところは、重ね塗りをするとよいでしょう。セラミド入りの化粧水などは、乾燥対策におすすめです。
スキンケアの最後には、保湿性の高い美容液やクリームなどを塗って、水分の蒸発を防ぎましょう。べたつきが気になるという人は、目元用や口元用など、パーツ別のクリームを使うのもおすすめです。
特に唇は、化粧水などを使ったケアができないので、こまめにリップクリームを塗って保湿をすることが重要です。その際、強く押しあてるように塗るのではなく、優しく馴染ませるように塗りましょう。
リップクリームは、保湿力の高いものを選ぶことがおすすめです。セラミドなどが配合されているものや、皮が剥けて荒れてしまっているような場合には、薬用のものを選ぶと効果的です。
日常生活で気をつけたいこと
ここまで顔の保湿ケアについてお伝えしてきましたが、食事や睡眠などの生活習慣を見直すことも、乾燥を防ぐうえで重要です。肌の保湿力にとって重要な細胞は、体内に取り込まれる栄養素から作られており、肌のバリア機能を効果的に働かせるためには、睡眠をしっかりとって、肌を健やかな状態に保っておくことが不可欠だからです。
さらに、次のようなことも、乾燥対策につながります。
室内では温度・湿度コントロールをする
寒くなると、暖房器具を使う機会が増えてきますが、とくにエアコンは、部屋を暖める際に湿度(相対湿度)が低下してしまうため、乾燥が進む原因になります。
エアコンを使用する際は、加湿器を併用することをおすすめします。エアコンと加湿器を併用すると、体感温度が高くなるので、より低い温度設定でも快適に過ごすことができます。
こまめな水分補給を心がける
顔の乾燥対策というと、外側からのアプローチにばかり目が行きがちですが、身体の水分量が少ないことも、肌の乾燥につながります。とくにデスクワークなど、長時間、集中しているときには、水分補給を忘れがちになりますが、冬場でもこまめに水分を摂るようにしましょう。
マスクを外した後は保湿ケア
マスクをしていると、水蒸気がたまって肌が潤っているように感じるかもしれませんが、マスクを外した後の皮膚は、乾燥しやすい状態にあるので要注意。というのも、マスク内にたまっていた水蒸気が出ていく際に、肌の水分も一緒に蒸発してしまうことがあるからです。とくに顔の乾燥が気になる人は、マスクを外した後に、クリームなどで保湿ケアをするとよいでしょう。
唇の触りすぎに要注意
唇を触ったり、舐めてしまう癖がある人がいるかもしれません。けれども、頻繁に触ったり舐めたりしていると、唇の荒れを悪化させてしまう原因になるので、こまめにリップクリームを塗るなどして対策しましょう。
顔の乾燥を放っておくと、外部からの刺激を受けやすくなって、肌荒れを引きおこしたり、小じわの原因にもなります。しっかり保湿ケアを行って、プルプルな肌で冬を乗り切りましょう。なお、乾燥によって肌荒れが悪化してしまった場合や、ケアをしていても改善が見られない場合には、皮膚科で相談してくださいね。
まとめ
- 表皮(皮膚表面)を覆う皮脂膜や、角層(表皮の一番外側の層)にあるNMF(天然保湿因子)、そしてセラミドなどの細胞間脂質が、バリア機能として、肌の水分保持のために働いている
- 皮脂膜は、皮脂と汗が混ざってできていて、これらの量が減少する冬には、皮脂膜が薄くなって乾燥しやすくなる
- 皮脂の量は、顔のパーツによっても異なり、Tゾーンは皮脂量が多く、頬や口元、皮脂量が少ない
- 唇には皮脂腺がなく、角層も薄いので、とくに乾燥しやすい
- スキンケアは、乾燥のしやすさに合わせて行うとよい
- クレンジングや洗顔の際は、乾燥しやすい場所は時間のかけすぎに注意する
- 乾燥が気になるところは、化粧水や乳液を重ね塗りするとよい
- クリームが苦手な人は、アイクリームなど、パーツに特化したものがおすすめ
- 唇はリップクリームでこまめに保湿することが大切
- スキンケア以外では、生活習慣を見直す、室内の温度や湿度を調節する、こまめな水分補給を心がける、マスクを外した後に保湿ケアをする、唇には触りすぎない、といったことが重要
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