ひどい肩こりを放っておくと、肩のみならず他の部位にも痛みが出たり、めまいなどにつながることがありますが、実は顔のたるみやくすみといったお肌の悩みにも悪影響を及ぼすことがあります。
そんな肩こりを解消する方法として最近注目されているのが「筋膜リリース」です。そこで、肩こりが肌の症状を引き起こす理由や、筋膜リリースについて、解説していきましょう。
肩こりで血流が悪くなるとどうなる?
肩こりは、内臓系の病気や骨の異常などさまざまなきっかけで引き起こされますが、血行不良もまた、大きな原因の一つです。
たとえば、デスクワークなどで長時間、同じ姿勢をとり続けていると、筋肉が緊張して硬くなり、血液の流れが悪くなります。そして血流が悪化すると、老廃物などが蓄積して神経を圧迫し、痛みやだるさ(肩こり)を引きおこします。
本来であれば、肩こりを感じた時には姿勢を改善したり、ストレッチを取り入れるなどして早めに対処することが肝要ですが、実際は対策をしていないという人も少なくないでしょう。
また、「たかが肩こりくらい」と、軽く見ている人もいると思います。けれども、肩こりが慢性化すると肩だけにとどまらず、ほかの部位にも影響が出るようになります。たとえば、首や背中の血流まで悪くなって痛みを感じたり、だるさやめまいといった全身の症状へとつながっていくこともあります。さらに、血流の悪化によって、シワやたるみ、くすみといった肌の症状が悪化することもあるので注意が必要です。具体的にどういうことなのか、見ていきましょう。
血流悪化によって現れる肌への影響とは
年齢とともに、シワやたるみ、くすみといった肌悩みが増えてきた、という人は多いのではないでしょうか。こうしたお悩みは、エイジングにともなう代表的な症状であり、ある程度は仕方がないことといえますが、実は、血液の循環がよくないがために、症状が悪化している可能性もあります。
たとえば、たるみ。たるみの原因には、加齢によるハリの低下、筋肉の衰え、脂肪の増加などがありますが、血流の悪化も、たるみを加速させる一因です。肌の血流が悪くなると、ハリを維持するコラーゲンなどをはじめ、さまざまな細胞に酸素や栄養が届きにくくなります。すると、ハリがなくなって、たるみをより加速させたり、シワの原因になることもあります。また、血流が悪くなると、肌の新陳代謝であるターンオーバーのサイクルも乱れるようになり、乾燥やニキビ、シミ、くすみなどの症状が出やすくなります。
このように、肌の症状の中には血行不良が影響しているものがあるので、肩こりなどを放っておくことは、肌にとっても好ましくないことといえます。言い換えると、身体の血流をよくしておくことは美容面でも重要、ということです。
肩こりなどの解消法には、姿勢の改善やストレッチなどが有効ですが、最近、注目を集めている方法の一つに「筋膜リリース」があります。これは、筋肉などを覆う「筋膜」に着目した施術で、身体の不調の原因となる筋膜の癒着を治すことを目的としています。では、「筋膜」とはどういうものなのか、見ていきましょう。
肩こりなどの原因にもつがなる「筋膜」の癒着とは
「筋膜」とは筋肉などを覆っている薄い膜のことで、全身の器官や神経などとも結合していることから、「第二の骨格」と呼ばれることがあります。
筋膜は、名前のイメージから、筋肉だけを覆っていると思われがちですが、実は、骨や神経、内臓といったさまざまな器官も包み込んでいて、それぞれの器官が適正な位置に納まるようにサポートしています。また、筋肉の組織である筋線維の動きを助ける役割もあり、薄い膜ながらとても重要な役割を担っています。
一方で筋膜は、周辺の筋膜などと癒着を起こしやすい、という性質を持っています。たとえば、長時間、同じ姿勢でいたり、ケガをして身体の一部に過度に負荷がかかっていたりすると、筋膜がねじれたまま、くっついてしまうことがあります。お互いの筋膜がくっついてよじれるということは、そこに包まれている筋肉やほかの組織の動きも制限されてしまう、ということです。その結果、身体の動きが悪くなって、筋力や柔軟性が低下したり、痛みを生じるようになり、肩こりや腰痛などにつながることがあります。また、悪化すると、しびれや痛みが広い範囲に拡がるようになります。こうした症状は、専門的には「筋膜性疼痛症候群(MPS)」と呼ばれ、専門の医療機関で治療が必要になることもあります。
「筋膜リリース」とは
このように、筋膜の癒着は身体の動きを不自由にしたり、痛みなどを発生させることがあります。そこで、この筋膜の癒着やねじれを治して、筋膜や筋肉が自由に動くようにしようと考えられたのが、「筋膜リリース」です。
本来、筋膜リリースは、理学療法士などの専門家が行う施術の一つですが、最近では、セルフケア法も多数紹介されています。さまざまな方法があり、アプローチしたい部位によっても、やり方が変わります。
たとえば、肩こりの改善を目的とした筋膜リリースでは、肩だけでなく、肩甲骨~腕を使ってポーズをとるものなどもあれば、全身を使って行うものもあります。最近では、書籍や雑誌だけでなく、専門家が解説する動画も投稿されているので、興味がある人はチェックしてみるとよいでしょう。
筋膜リリースで身体もお肌も健康に
筋膜リリースを行うと、身体を動かしやすくなったり、肩こりや腰痛などの改善が期待できます。肩こりが改善するということは、血流が改善することにもつながり、ひいては、血流の悪化によって起こっている、肌のさまざまな症状の改善にもつながっていくでしょう。
ちなみに、血流の悪化には、身体の冷えなども大きく関係しているので、運動したり、身体を温める食べ物を摂るなど、冷えない身体づくりも重要です。血液を全身に巡らせて、健康な身体と美しいお肌を手に入れましょう。
まとめ
- 血行不良は肩こりの原因の一つ
- 血流が悪くなると、老廃物が蓄積して痛みやだるさを引きおこす
- 肩こりを放っておくと、たるみやくすみなどの原因にもなる
- 血行不良になって、細胞に必要な栄養素などが届きにくくなると、ハリが低下してたるみを悪化させたり、シワの原因にもなる
- 血流が悪くなると、ターンオーバーのサイクルも乱れて、さまざまな肌トラブルを引き起こす
- 肩こりを解消する方法として、「筋膜リリース」が注目されている
- 筋膜は筋肉などを覆う薄い膜で、「第二の骨格」とも呼ばれている
- 筋膜は、さまざまな器官が適正な位置に納まるようにサポートしたり、筋線維の動きを助けるなど、重要な役割を担っている
- 筋膜は、ほかの筋膜と癒着を起こしやすく、無理な姿勢が続いていたりすると、筋膜が捻じれた状態でくっついてしまうことがある
- 筋膜が癒着すると、筋力や柔軟性の低下、痛みの発生などの原因となり、症状が重いものは「筋膜性疼痛症候群」と呼ばれる
- もともと筋膜リリースは、理学療法士などが行う施術の一つだったが、最近はセルフケア法などが多く紹介されるようになってきている
- 書籍や雑誌だけでなく、動画などでも筋膜リリースのやり方が紹介されている
- 筋膜リリースを行うと、身体の痛みやコリだけでなく、肌の症状の改善にもつながる
- 血流の悪化は身体の冷えも関係しているので冷えない身体づくりも重要
category
顔
肌
ボディ
その他