インターネットなどを中心にたびたび取り上げられるダイエット食品。
これまでもさまざまな食品が注目されてきましたが、数年前から話題になっているものの一つに「MCTオイル」があります。
文字通り油の仲間ですが、どんな健康効果が期待できるのでしょうか。そこで、MCTオイルの正体やおすすめの摂り方について解説します。
身近なものに含まれている「MCT」
「MCT」とは “Medium Chain Triglyceride”の頭文字をとった略称で、中鎖脂肪酸のことを指します。脂肪酸は油の主成分で、炭素数の違いによっていくつかの種類に分類されています。
たとえば、なたね油など、一般的に食用油として用いられるものの多くは、長鎖脂肪酸(炭素数12~20個)に当たります。これに対して、炭素数が8~10個のものは中鎖脂肪酸と呼ばれています。中鎖脂肪酸を含む食品には、ココナッツオイルがあります。また、母乳や牛乳、乳製品といった身近な食品にも含まれています。
ところで、「中鎖脂肪酸は身体によい」という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。それはなぜなのでしょうか?
中鎖脂肪酸が身体によい理由
中鎖脂肪酸の大きな特徴といえば、代謝のスピードが速いこと。一般的な食用油(長鎖脂肪酸)などと比べると、そのスピードはおよそ4倍ともいわれています。
一般的な食用油の場合、口から摂取された後、小腸で吸収され、筋肉や脂肪、肝臓などに運ばれます。そして、エネルギーとして使用されない分は体脂肪として蓄積されていきます。
蓄積した体脂肪は、身体のブドウ糖が不足したときなどに、エネルギーとして使われます。逆にエネルギー源が豊富にある状態では、体脂肪として蓄積されたままになり、これが肥満や生活習慣病の原因になります。
一方で中鎖脂肪酸は、小腸で吸収されると、そのまま肝臓へと運ばれて代謝されます。代謝のスピードが速いので、中鎖脂肪酸はエネルギー源になりやすく、また体脂肪として貯まりにくいので、肥満などの原因になりにくいといわれています。
MCTオイルとダイエット
お伝えしたように、ココナッツオイル、牛乳や乳製品などには中鎖脂肪酸が含まれていますが、100%が中鎖脂肪酸というわけではありません。そこで、ココナッツオイルやパームなどを精製し、中鎖脂肪酸100%のオイルとして作られたのが「MCTオイル」です。
MCTオイルは、とくに数年前から「ケトジェニックダイエット」などに関連して、注目度が高まったといわれています。ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取量を抑え、体内の脂肪酸をエネルギーとして消費することで、体脂肪を減らそうというダイエットです。体脂肪が燃焼される際に「ケトン体」が作られることから、このような名前で呼ばれています。
ケトジェニックダイエットは、いわゆる糖質制限ダイエットとして注目を集めていますが、ただ糖質を控えればよい、というわけではありません。1日あたりの糖質の摂取量を一定以下に抑える代わりに、たんぱく質や食物繊維、ミネラルなど、ほかの栄養素をしっかり摂ることがポイントになります。また、脂質を摂ることも必要ですが、とくに必須脂肪酸であるオメガ脂肪酸や、体脂肪がつきにくい中鎖脂肪酸などの良質な油を選ぶことがすすめられています。
このように、注目度の高いケトジェニックダイエットの中で、中鎖脂肪酸が紹介されたこともあって、MCTオイルは関心を集めるようになったようです。
MCTオイルの上手な摂り方と注意点
MCTオイルは体脂肪がつきにくい油ですから、毎日の食生活に上手に取り入れると、脂肪を燃焼しやすい身体づくりに役立てることができます。
けれども、なたね油などのように、炒め物や揚げ物などで使うことはできません。というのも、MCTオイルは低温で煙が出てしまうという性質があるからです。加熱調理に使うよりも、ドレッシングや調味料に混ぜたりして、非加熱のまま摂るほうがおすすめです。また、味噌汁やスープ、飲み物などにかけるのもよいでしょう。「味や匂いが変わりそう・・・」と思う人がいるかもしれませんが、MCTオイルは匂いや味の少ない油なので、ぜひ試してみてください。
ただし、MCTオイルを摂る際は、摂取量に注意が必要です。いくら身体によいとはいえ、油の仲間。MCTオイルのカロリーは大さじ1杯あたり110kcalほどですから、カロリーオーバーにならないように気をつけましょう。また、えごま油やアマニ油に含まれるオメガ脂肪酸など、身体によい油はほかにもあります。
中鎖脂肪酸にだけこだわるのではなく、全体のバランスを考えながら、適度にMCTオイルを取り入れるように心がけましょう。
そして、体脂肪を燃焼するためには運動も欠かせません。食事と運動の両方に気をつけながら、健康的な身体を目指しましょう。
まとめ
- 「MCT」とは “Medium Chain Triglyceride”の頭文字をとった名称で、中鎖脂肪酸のこと
- 中鎖脂肪酸は炭素数が8~10個の脂肪酸で、ココナッツオイル、母乳や牛乳、乳製品に含まれる
- 中鎖脂肪酸は代謝のスピードが速いことが特徴
- 中鎖脂肪酸は、小腸で吸収された後、そのまま肝臓へと運ばれて代謝されるので、体脂肪として蓄積されにくく、肥満などの原因になりにくい
- MCTオイルは、ココナッツオイルやパームなどを精製して作られた、中鎖脂肪酸100%のオイル
- MCTオイルはケトジェニックダイエットと関連して注目されている
- ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取量を抑え、体内の脂肪酸をエネルギーとして消費することで、体脂肪を減らそうというダイエット
- ケトジェニックダイエットを行う上で、中鎖脂肪酸を摂ることがすすめられている
- MCTオイルは低温で煙が出てしまうので、加熱調理には不向き
- ドレッシングや調味料に混ぜたり、味噌汁やスープ、飲み物にかけるのがおすすめ
- 身体に良い油だが、摂りすぎはカロリーオーバーになるので要注意
- 健康的にダイエットをするなら運動もあわせて行うことが大事
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