気がついたら体にできていたいぼ。とくに痛みやかゆみがないから大丈夫と放置していませんか?
いぼにもさまざまな種類がありますが、放っておくと悪化したり他人にうつしてしまうものもあります。
今回はそんないぼの原因と治療法について解説しましょう。
いぼの原因はさまざま
「いぼ」は、皮膚が盛り上がってできた小さなできものを指す一般的な呼び方で、医学的には「疣贅(ゆうぜい)」と言います。いぼの原因は大きく分けると2種類、ウイルスによるものと、加齢や紫外線の影響によるものがあります。
皮膚科などでいぼ、という時はウイルスが原因である「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」を指すことがほとんどですが、ウイルスによってできるいぼはそれに限りません。ウイルス性のいぼは、放っておくと悪化したり、周りの人にうつしてしまう可能性があるため注意が必要です。
一方、加齢や紫外線によってできるいぼは、時間をかけて徐々にできるもので、基本的に様子をみていて問題ありませんが、見た目が気になったり、衣類がこすれて痛いといった不具合が生じることもあります。
どちらにしても、素人目には判断がつきにくいこともあり、気になる場合は早めの対処が重要です。それぞれの具体的な特徴についてみていきましょう。
ウイルス性のいぼの種類と特徴
いぼを引き起こす代表的なウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるものです。HPVには100を超えるほどたくさんの種類があり、どのウイルスに感染するかによって、いぼのできる場所や症状が異なります。HPVに感染したときにできる代表的ないぼは、次のようなものです。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
手足の指や足の裏が主だが、顔や膝、外陰部などにできることもある。プールサイドや温泉などの脱衣所、家族との接触やタオルの共有などで感染することが多く、こどもに多いが、大人でもできるひとが増えている。米粒大〜1cm程度のいぼで、表面は厚くなってかさつき、でこぼこしており、タコやうおのめと間違えやすい。
青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
額やほお、手、首、背中などにできる。粟粒大〜米粒大の表面がなめらかないぼで、肌色や淡い褐色をしている。
尖圭コンジローマ
外陰部や肛門のまわりなどにできる。性的な接触によって感染するケースが多く、表面はなめらかで先のとがった乳頭状のものや、カリフラワー状のぼこぼことした丘疹ができることもある。
その他、幼児やこどもに多い伝染性軟属腫(水いぼ)もありますが、その原因は、伝染性軟属腫ウイルスによるものです。プールなどで感染することが多く、肌色やピンク色で粟粒大くらいの丘疹がひとつまたは複数集まってでき、水疱のように見えるため、水いぼという呼び方がよく知られています。とくにアトピー性皮膚炎のこどもは悪化しやすいと言われます。
ウイルス性のいぼの対処法
ウイルス性のいぼは、自然治癒することもありますが、放っておくと体の別のところに広がったり、他人にうつしてしまうことがあるため、むやみに触らない、タオルなどを共有しないといった注意が必要です。また、治療法はいぼの種類によって異なってきます。
HPVによるいぼに対しては市販薬もありますが、いぼが大きくなってきたり数が増えたりするなどなかなか治らない時は、病院を受診しましょう。
治療法としては、内服薬や外用薬を用いる他、液体窒素による冷凍療法でいぼを凍らせて取り除く、電気焼灼法で焼き切る、といったものが一般的です。また、保険適応外にはなりますが、炭酸ガスレーザーなどのレーザー療法や電気メスなども存在します。いずれにしても、1回で治るものではなく、根気よく治療を続けることが必要です。
また水いぼは、半年〜3年程度で自然に消えることも多いため、そのまま様子をみることもありますが、周りにうつす可能性が高い時は治療がすすめられます。初期の場合は、ピンセットなどでいぼを一つずつつぶし内容物を取り除く治療も行われる他、外用薬や冷凍療法などHPVと同様の治療法が選択されることもあります。
加齢や紫外線によってできるいぼの種類と特徴
ウイルスが原因ではない、代表的ないぼは大きくわけて2つです。
一つめは「老人性いぼ」と呼ばれるもので、皮膚の老化や紫外線の影響で、皮膚の表皮にあるメラニン色素が増え厚くなっていぼができます。その中にも「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」、「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」といった種類があり、どちらも顔や胸、背中、腰、手の甲などに、茶色や黒のいぼができます。
老人性いぼは、その名の通り中高年に多く、別名「長生きいぼ」と言われることもあります。初めのうちは褐色斑としてあらわれ、シミのようにも見えますが、次第に盛り上がってきて境目のはっきりとしたいぼになります。大きさは1〜2cmほどになることもあり、表面は厚い角質でザラザラしています。
二つめは、「軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)」と言い、加齢や紫外線、さらに摩擦などの影響で、首や脇など皮膚の弱いところに、1つまたは複数の飛び出したいぼができるものです。サイズやいぼの形などによって、別名「首イボ」、「アクロコルドン」、「スキンダック」、「中年いぼ」などと呼び分けられることもあります。サイズは1〜5mm程度で肌と同じような色や茶色が多く、触ると柔らかいのが特徴。一般的には中年以降に多いと言われますが、体質によっては20代からできることもあります。
加齢や紫外線によるいぼの対処法
加齢や紫外線によるいぼは良性であり、ほとんどの場合様子をみていても問題ありません。
ただし、老人性いぼの形がいびつで色ムラがあったり、周りの皮膚との境が不明瞭なものは悪性腫瘍の可能性もあるため、病院を受診しましょう。
また見た目が気になる場合は、皮膚科や美容外科などで治療を受け、目立ちにくくすることもできます。治療法としては、液体窒素による冷凍療法や、炭酸ガスレーザーを用いたレーザー治療、外科的な切除などがあり、症状や本人の希望に応じて選択されます。
とくに首にできやすい軟性線維腫は、人目につきやすかったり、衣類でこすれることがあるため、気になってしまうケースが多くあります。軟性線維腫も老人性いぼと同様の治療を受けられる他、飛び出している1mm程度のいぼであれば、医療用のはさみで切りとる、といった治療法もあります。
このように加齢や紫外線によるいぼは、治療で改善することができますが、再発したり、年齢と共に増えていくこともあるため、日頃のケアが重要です。UVケアを徹底したり、出来る限り摩擦による刺激を避ける、といった対策を心がけましょう。
いぼの原因と治療法はさまざま
このようにいぼの種類はさまざまで、その原因によって対処や治療法も大きく異なります。様子をみていて問題ないケースもありますが、自分で判断がつかない場合には、医療機関を受診しましょう。早めの対処が改善の近道です。
まとめ
- いぼは、皮膚が盛り上がったできものを指し、医学的には「疣贅」と言う
- いぼの原因は、ウイルスによるものと、加齢や紫外線によるものに大別される
- いぼを引き起こす代表的なウイルスはヒトパピローマ(HPV)で、その中にも100以上の種類がある
- ウイルスの種類によって、いぼができる場所や症状も異なる
- ウイルス性のいぼには、尋常性疣贅や青年性扁平疣贅、尖圭コンジローマなどがある
- ウイルス性のいぼは広がったり、他人にうつしてしまうこともあるため注意が必要
- 自然治癒することもあるが、悪化している場合は病院での治療がすすめられる
- 加齢や紫外線によってできるいぼには、「老人性いぼ」と「軟性繊維腫」がある
- 老人性いぼや軟性線維腫は良性だが、気になる場合は治療で目立ちにくくすることも可能
- いぼにはさまざまな原因があるため、自分で判断がつかない場合は早めの受診が大切
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