春になると道ばたでもよく見かける「ヨモギ」。ヨモギ餅などお菓子や料理に使われる食材として馴染み深いですが、実は昔から漢方にも取り入れられてきた薬草で、美容にも嬉しい効果があります。
「ハーブの女王」とも称されるヨモギについて、詳しく解説します。
ヨモギとは
ヨモギはキク科の多年草で、道ばたなど身近なところに野生している植物です。食用としては3〜5月が旬で、春の若苗を摘み取って草餅などに使われるのが一般的です。若葉はとくに香りがよく、ビタミンやミネラルも豊富です。葉の裏側を覆う薄い綿毛はお灸に使う「モグサ」にもなります。
またヨモギは、漢方では「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、止血薬として用いられています。ほかにも、ヨモギは切り傷によいという言い伝えがあり、民間療法として古くから活用されてきました。乾燥させてお茶にする、お風呂に入れるなど、その用途はさまざまです。
では、ヨモギにはどんな栄養素が含まれているのでしょうか?
ヨモギの栄養素
次のように、ヨモギには女性に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。
クロロフィル
ヨモギの緑色の主成分は「クロロフィル」と呼ばれる葉緑素で、細胞の代謝を活性化する働きがあります。また、貧血を予防する効果や老廃物を出すデトックス効果などが期待できます。
βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換されます。皮膚や粘膜の健康維持に働き、免疫力の維持やうるおいのある肌作りを助けます。
ビタミンK
丈夫な骨を作るのに働き、骨粗鬆症の治療薬としても使用されています。
ビタミンC
コラーゲンの生成に不可欠で、ハリのある肌を作ります。また、鉄分の吸収を助けて貧血予防に働きます。
カリウム
塩分を体外に排出する働きがあり、高血圧の予防やむくみの改善に役立ちます。
鉄分
体中に酸素を運ぶヘモグロビンの主成分で、貧血予防に働きます。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘の予防改善やデトックス効果を期待できます。腸内環境と肌は深く関係していて、食物繊維は健康的な肌を保つためにも重要です。
注目したいヨモギの美容効果
ヨモギには美容面で嬉しい効果があります。
デトックス効果でむくみの改善
ヨモギには利尿作用があり、不要な老廃物を体外に出すのを助けます。老廃物が減ってむくみが改善すると、フェイスラインや足などがスッキリします。
肌のエイジングケア
肌を構成する細胞は、加齢や紫外線などさまざまな要因で酸化してしまいます。酸化はシミやしわなどの一因にもなり、老化を早めることにつながります。ヨモギには、βカロテンやビタミンCをはじめとした抗酸化作用を持つ栄養素が豊富に含まれています。
腸内環境を整える
腸内環境が乱れていると、肌荒れや吹き出物といった肌トラブルが起こりやすくなります。ヨモギに多く含まれる不溶性食物繊維は、お通じをスムーズにして便秘を予防します。
身体を温めて冷えを改善
冷えは美容の大敵ですが、ヨモギには身体を温める効果があり、古くから入浴剤として活用されてきました。身体が芯から温まって血流が改善すると、肌の新陳代謝が促されて、シミやくすみ、くま、乾燥などの肌トラブルが起きにくくなります。
このようにさまざまな栄養素をもつヨモギは、食事や入浴など日々の生活に取り入れることで、多くの効果を期待できます。そこで、その活用方法についてご紹介します。
ヨモギの活用方法 ① 食事やお茶で取り入れる
ヨモギというと、ヨモギ団子や草餅といったイメージが強いですが、ほかにもおいしい食べかたがあります。たとえば、旬のヨモギは天ぷらやかき揚げにしたり、ミキサーで食べやすくポタージュにしたりするのがおすすめです。
また、ヨモギ茶は市販品もありますが、自宅で煎じることもできます。作り方はとても簡単。鍋にヨモギの葉を入れて水を加え、弱火で10分程度煮出します。そのまま5分くらいおいて予熱で味や成分を引き出してから、ポットなどに移して完成です。
注意点として、やかんなどは土鍋やセラミック、ホーローなどのものを使うようにしましょう。鉄や銅製のものを使うと、野草に含まれるタンニンが結びついて有害物質を作る可能性があります。
ヨモギの活用方法 ② 入浴剤として取り入れる
お伝えしたように、ヨモギには身体を温める効果があります。また、ヨモギ特有の香りのもとになっている「シネオール」という成分には、入浴中のリラックス効果を高める効果があり、安眠にもつながります。
入浴に取り入れる方法は至ってシンプル。湯船に生のヨモギを浮かべるほか、乾燥させたヨモギをガーゼなどにくるんでお風呂に入れ、もんでエキスを抽出する、といった方法があります。また、濃いめに煮出したヨモギの煮汁を入れるのもよいでしょう。洗面器にお湯を入れ、そこにヨモギを入れてもみ、手浴や足浴をするのも手軽で効果的です。
ヨモギを取り入れる際の注意点
さまざまな効果・効能を期待できるヨモギですが、注意点もあります。
アレルギーには要注意
ヨモギはキク科の植物なので、アレルギーを持つ人は使用を控える必要があります。また、初めて取り入れる際は、少量から始めて様子をみましょう。
採取する際には、トリカブトと間違えないで
ヨモギはあらゆる場所で採ることができますが、毒草のトリカブトと葉の形が似ているので、正しく見極めて採取する必要があります。
妊娠中は、摂取量に気をつけて
ヨモギに含まれる「ツヨン」という成分には子宮を収縮させる作用があるため、妊婦さんは食べる量に注意が必要です。ヨモギ餅など、ふだんの食事で口にする程度なら問題ありませんが、過剰に摂取すると流産や早産につながる危険性があるといわれています。
ヨモギは身近な野草の中でもとくにビタミンやミネラルが豊富で、葉緑素や酵素も多く、万能な効力をもつ植物です。注意点も把握した上で、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
- ヨモギはキク科の多年草で、道ばたなど身近なところに野生している
- 漢方では止血薬として用いられていて、民間療法でも古くから親しまれてきた
- ヨモギにはビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれていて、葉緑素も多い
- デトックス効果や腸内環境の改善を期待でき、美容にも効果的
- ヨモギは食事やお茶、入浴剤としても活用できる
- 入浴に取り入れると、冷えの改善やシネオールの香りによるリラックス効果が得られる
- ヨモギを採取する場合は、トリカブトと間違えないように確認することが大切
- キク科の植物にアレルギーがある人や妊娠中の人は、ヨモギを取り入れる際に注意が必要
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