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「素肌と同じ弱酸性」というキャッチコピーを聞いたことがある人は多いでしょう。「弱酸性」は肌に良さそう、というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。より効果的に素肌のケアをするために押さえておきたい、肌の基本や性質についてご紹介します。

弱酸性とは?

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「酸性」「中性」「アルカリ性」といった表記は、ボディーソープや洗剤などさまざまな製品で見かけますが、その具体的な指数を示すのが、「pH(ピーエイチ)」です。これは、溶液に含まれる水素イオンの濃さによって決まるもので、「水素イオン濃度指数」を意味する英語、Potential Hydrogenを略して、通常は「pH」と呼ばれます。

pHは1〜14の数字で表され、中央値7が中性で真水にあたり、これより数字が少ない1〜7までが酸性、数字が大きい7〜14までがアルカリ性とされます。酸性、アルカリ性の強さにも度合いがあり、温泉や家庭用洗剤では、3.0未満が酸性、3.0以上6.0未満が弱酸性、6.0以上8.0以下が中性、8.0を超えて11.0未満が弱アルカリ性、11.0を超えるものがアルカリ性と表記することが決まっています。

たとえば、強い酸味の代表格ともいえるレモンのpHはおよそ2.5、食用のほか洗剤としても使われる重曹は9.0など、さまざまなものの性質をpHで知ることができます。

そして、今回注目する肌のpHとは、皮膚表面にある皮脂膜のpHを意味しています。

肌はもともと弱酸性

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皮脂と汗が混ざりあってできている皮脂膜は、「天然の保護膜」とも呼ばれ、肌を外部の刺激から守る役割があります。また、皮膚の表面には常在菌が存在しており、皮脂の脂肪酸を分解するため、皮脂のpHは4.5〜6.0の弱酸性に保たれています。健康な肌は弱酸性で、その状態をキープすることでバリア機能を保持し、潤いを保っているとも言えるのです。

また、汗をかいたり、洗顔や石鹸で手を洗った後などは、肌の性質が一時的にアルカリ性に傾きますが、皮脂膜には「アルカリ中和能」と呼ばれる働きがあり、短時間で元の弱酸性に戻ります。

ところが、肌が乾燥していたり刺激に弱く敏感な状態になっていたりすると、アルカリ中和能が弱くなってしまい、pHのバランスが乱れやすくなります。その結果、肌のpHが中性〜アルカリ性に傾き皮膚の抵抗力が弱まると、炎症や湿疹が出やすくなってしまいます。

肌のpHが乱れると増えてくるトラブルとは

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肌のpHバランスが乱れた状態が続くと、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。

まず、肌が中性〜弱酸性になると、黄色ブドウ球菌などが増えやすくなります。通称「悪玉菌」とも呼ばれる黄色ブドウ球菌は、皮膚の表面や皮脂腺などに存在していて、肌が健康な状態であれば悪さをしませんが、アルカリ性になると増殖し、肌荒れや皮膚炎を招くことがあります。

さらに、肌がより乾燥して紫外線のダメージを強く受けるようになり、シミやくすみ、しわなどができやすい状態になります。つまり、肌のpHのバランスが崩れると、老化がすすむ一因にもなるということです。

健やかな肌をキープするためのスキンケア

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健やかな肌を守るためには、pHのバランスが乱れないようにすることが重要です。ところが、日常的に使うボディーソープや、食器洗剤や洗濯洗剤などは、高い洗浄力を期待できる弱アルカリ性〜アルカリ性のものが多いため、使い方を誤ると肌の負担になることがあります。けれども、だからといって必要以上に石鹸などを避けてしまうと、今度は汚れが肌に残ってトラブルが生じてしまいます。では、どんな点に気をつけて素肌ケアをすればよいのでしょうか。

そこで、2つのポイントをご紹介します。

ボディーソープは肌のタイプに合わせて選ぶ

健康な肌のpHは弱酸性ですが、アルカリ性のボディーソープがすべて肌の負担になるというわけではありません。ボディーソープは大きく、弱酸性のものとアルカリ性のものの2種類に分けられ、それぞれに洗浄力や洗いやすさに特徴があります。

アルカリ性のボディーソープは、皮脂の汚れをすっきり落としやすいため、夏場など汗をかきやすい時季に適しています。ただし、洗浄力が強いため、1日に何回も使用したり、ゴシゴシこすらないように注意しましょう。

一方、弱酸性のボディーソープは刺激が少ないため、乾燥しやすい秋〜冬にかけてや、肌荒れが気になる時におすすめです。ただし、弱酸性のボディーソープには合成界面活性剤が含まれているものも多いため、きちんと洗い流すことが重要です。

このように、肌の状態に合わせて選ぶこと、そして製品の注意事項をしっかり確認することがスキンケアのポイントです。

一年を通して、全身の保湿を丁寧に

お伝えしたように、肌にはアルカリ中和能が備わっているため、pHが多少アルカリ性に傾いてもまた弱酸性に戻るようになっています。ただし、肌が乾燥したり敏感な状態になっていたりすると、その働きがうまく機能しません。そのため、乾燥しやすい冬はとくに、顔だけでなく全身の保湿を丁寧に行いましょう。

肌が本来の機能を発揮できるよう日頃のケアを見直し、今の状態に合う洗浄剤を選ぶことが、素肌ケアの基本です。

まとめ

  • pHの値によって、溶液の性質は酸性、中性、アルカリ性などに分けられる
  • 肌の皮脂膜では、常在菌が脂肪酸を分解するため、pHは4.5〜6.0の弱酸性となっている
  • 健康な肌は弱酸性をキープすることで、バリア機能を保っていると言える
  • 一時的に肌がアルカリ性に傾いてもアルカリ中和能によって、元の状態に戻る
  • 肌が乾燥していると、アルカリ中和能が機能せず、刺激に弱い状態となる
  • 肌が中性〜弱酸性になると、炎症や湿疹が出やすく、老化を招く要因にもなる
  • ボディーソープや食器洗剤などは、洗浄力が高いアルカリ性のものが多い
  • ボディーソープは製品の表示を確認し、肌のタイプに合わせて選ぶ
  • 乾燥する冬はもちろん、一年を通して全身の保湿を徹底することが素肌ケアの基本
文/品川美容スタッフ

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