210105_SBN_logo_pink.svg

em000.jpg

最近、雑誌やwebでよく『エモリエント』というワードを目にします。何となく保湿とか皮膚に良さそうなイメージがありますが、正確にどのようなものか把握しきれていない感がある方も多いのではないでしょうか。今回はこの皮膚の保湿のしくみを紐解きながら、秦医師に「エモリエント」について教えていただきました!


秦医師

品川美容外科 品川本院の秦 真治(はた しんじ)です。
美容への探究心から「新しい治療はまず自分で試す」のがモットー。注射やレーザーなどの簡単な処置から外科的施術まで、幅広い症例を手がけており、コスメコンシェルジュとしての資格も保有しています。患者様の美容をのトータルでサポートいたします!

健康な皮膚は、水分を保てるようにできている

138_1

みなさんは皮膚の構造をご存知でしょうか。化粧水や美容液、クリームなどで肌の保湿に努めていらっしゃる方は多いと思いますが、実は皮膚の一番外側の角質層(角層)にはもともと水分を保つはたらきがあるのです。
角質層の細胞の中には「天然保湿因子(NMF:natural moisturing factor ナチュラルモイスチュアリングファクター)」というアミノ酸が主成分の物質が、細胞と細胞の間には「角質細胞間脂質」というセラミドが主成分の物質が存在します。
さらに、角質の最も表面では「皮脂膜」が水分の蒸発を防いでいます。皮脂膜とは、皮脂腺から分泌された皮脂が汗や角質と混じったものです。
このように、私たちの肌が健康な状態であれば、肌に備わっている水分を保つための二重、三重の働きが肌の保湿を助けてくれているのです。

「保湿」には種類がある!?モイスチャー効果とエモリエント効果とは

138_4_2

天然保湿因子、角質細胞間脂質、および皮脂膜。いずれも肌の保湿に重要なことはおわかり頂けたかと思います。
さて、もう少し細かく見ていくと、保湿には2つの種類があります。それは、
①水分を引き寄せておく
②水分が蒸発するのを防ぐ

の2つです。①のはたらきをモイスチャー効果、①のはたらきをするものをヒューメクタントと呼びます。
さらに、②のはたらきをエモリエント効果、②のはたらきをするものをエモリエントと呼びます。
健康な皮膚においては天然保湿因子がヒューメクタントであり、セラミドと皮脂膜がエモリエントです。
そしてお気づきの方もいるかもしれませんが、ヒューメクタントは水溶性、エモリエントは油溶性のものをさします。

モイスチャーバランスまで考えたケアが大切

138_4_2

モイスチャー効果とエモリエント効果はいずれも大切なもので、肌にはこの2つの適度なバランスが必要です。そして、このバランスが崩れると皮膚にトラブルが生じてしまいます。

ヒューメクタントを補うべきなのはこんな状態

例えば、皮膚は乾燥しているのに皮脂の分泌が多い状態を「乾燥型脂性肌」や「インナードライ」と呼びます。これは皮膚のモイスチャー効果が弱まり、エモリエント効果が強まっている状態です。
皮膚の水分少なくなっており、その水分が更に蒸発して減ってしまうのを防ぐべく、皮脂腺が代償的に頑張っているのがこの状態なのですが、水分を補給せず、油分を落とすケアをしてしまうとさらに肌の乾燥を招くことになってしまいます。
この場合、化粧水や美容液でモイスチャー効果のあるヒューメクタントを補う必要があるのですね。

エモリエントを補うべきなのはこんな状態

逆に、主婦や美容師、医療従事者などが手を洗いすぎにより生じる手荒れ。これは手洗いにて皮脂が落ち、エモリエント効果が低下し、それにより皮膚からヒューメクタントが失われていくことで生じます。この場合は化粧水や美容液でモイスチャー効果のあるヒューメクタントを補うと共に、乳液などでエモリエントを補う必要がある、というわけです。
もっとも、エモリエント効果のみが低下しており、モイスチャー効果は低下していないような軽度の手荒れであれば、エモリエントのみの補給で良いでしょう。

エモリエント効果を意識して、適切なケアで保湿しよう

138_4_2

いかがでしょうか。エモリエントから話がモイスチャーバランスまで膨らんでしまいましたが、私達の日常にとても関係がある事柄でしたね。
モイスチャーバランスを理解するのとしないのでは、普段のスキンケアにも雲泥の差が生じます。早速、今日からのスキンケアに生かして頂けると幸いです。

文/品川美容スタッフ

category