お茶やお菓子の材料としても知られるハトムギは、「ハトムギエキス」として美容への効果も期待されています。実際にはどのような働きをしてくれるのでしょうか。今回は「ハトムギエキス」の成分や効果、摂り方について詳しく解説していきます。
ハトムギエキスとは
ハトムギは、中国南部やインドシナ半島など南アジアで原産されるイネ科ジュズダマ属の植物です。穀類の一種でお茶やお菓子などに利用されますし、健康ブームに乗って雑穀ご飯も定着しましたから、スーパーやコンビニで目にする機会もあるでしょう。
このように一般に浸透している食材である一方、ハトムギの殻を除いて乾燥させた状態のものを「ヨクイニン」といい、かねてより生薬(※)として漢方などで重宝されてきました。ヨクイニンは生のまま使用することが多いのですが、煎ると効能が変わるといわれています。詳細は後の章でご説明します。
※生薬は、植物や動物、鉱物などの自然素材からつくられます。そのまま、もしくは加熱・乾燥・砕く・挽く・蒸すなどの簡単な加工を施し、薬用を目的として使用します。漢方薬と同一視されがちですが、漢方医学や西洋医学で用いられるほか民間薬(医療の専門家ではなく民間で伝承されている薬)も含まれます。ですから、必ずしも効能効果が確立しているとは限りません。
ハトムギエキスってどんなもの?
実は「ハトムギエキス」には明確な定義がありません。ハトムギは原料そのものを指し、ハトムギからの抽出物をハトムギエキス、ハトムギの殻を除去したものをヨクイニンと呼ぶことが多いようです。
ハトムギを原材料とする食品では「ハトムギ茶」が有名です。ただし、同じハトムギ茶でも、殻付き、殻なし、煎って利用するものなどさまざまです。処理方法によってその効能は異なってきます。
ハトムギエキスの成分と期待できる効果
ハトムギは穀類の代表である精白米に比べてたんぱく質が2倍以上も多く含まれる、という特徴があります。また、たんぱく質のもととなるアミノ酸も豊富に含まれます。アミノ酸の成分のなかでは、とくに「ロイシン」「プロリン」「アスパラギン酸」などが多く含まれます。それぞれ次のような働きをします。
ロイシン
筋肉の合成に関わり、筋肉の疲労回復や代謝を促進します。
プロリン
コラーゲンの主成分で、皮膚の土台となり健康的な皮膚を保ちます。
アスパラギン酸
新陳代謝を促進します。肌のターンオーバーの活発化を助けます。
このように、筋肉や皮膚など細胞の代謝を促すアミノ酸が多く含まれていることから、ハトムギエキスは肌の健康維持や浮腫みの改善などの効果が期待されています。
ハトムギエキスを配合した化粧水も顔用・ボディ用ともにたくさん販売されており、人気を集めています。
生薬としてのハトムギエキスの効果
ハトムギの殻を除去した生薬、ヨクイニンには、次のような効能が期待され用いられています。
1.浮腫(むくみ)の改善
2.膿の排出
3.筋肉のケイレンによる疼痛の緩解
4.健胃作用による胃もたれや食欲不振の改善
5.下痢の改善
なお、煎ったものは4、5に限定されるようです。
ハトムギの食品としての効能は、医薬品とは異なり特定の症状を治す目的ではなく、全身に働きかけ健康維持に寄与します。ハトムギは細胞の代謝を高め、毒素を排出する働きがありますので、継続して取り入れることで、美肌や代謝アップ、疲労回復などが期待できます。
ハトムギエキスの摂り方と注意点
ハトムギを通常の食品から摂取する分には安全に取り入れられます。ただし、サプリメントとなどの濃縮物は、安全性について明確なデータはありません。必ず用法容量を守り過剰に摂取しないこと、さらに摂取後はきちんと体調管理をして身体の変化をチェックしましょう。
なお、次のようなケースでは摂取を控えた方がよいでしょう。
妊娠中の方
ハトムギには子宮収縮を促す作用が認められているため、妊娠中は過剰摂取を避けましょう。お茶や雑穀に含まれる程度なら問題ありませんが、サプリメントや濃く抽出したハトムギ茶の常飲は避けた方がよいでしょう。
イネ科の植物にアレルギーをお持ちの方
同じイネ科の植物にアレルギー反応を起こす方は、ハトムギも避けた方がよいでしょう。
代謝のよい健康的な身体づくりの一環として、お茶をハトムギ茶にする、ご飯に混ぜるなど、習慣的に摂りやすい方法で取り入れてみてはいかがでしょうか。
ハトムギエキスのまとめ
- ハトムギの殻を除いて乾燥させたものは「ヨクイニン」と呼ばれ、昔から生薬として用いられている
- 「ハトムギエキス」に明確な定義はなく、原材料の状態に関わらずハトムギから抽出した成分をさす
- ハトムギは原料そのものを指し、抽出物はハトムギエキス、ハトムギの殻を除いたものはヨクイニンと呼ばれる
- ハトムギは精白米に比べてたんぱく質が2倍以上多く含まれている
- 筋肉や皮膚など細胞の代謝を促し、肌の健康維持、浮腫みの改善などの効果が期待されている
- 生薬としてのヨクイニンは、浮腫の改善、膿の排出、筋肉の痙攣による疼痛の緩解、健胃作用による胃もたれや食欲不振の改善、下痢の改善などに用いられる
- ハトムギを通常の食品から摂取する場合は、安全に利用することができる
- サプリメントなどの濃縮物は安全性を示す明確なデータがないため、用法容量を守り過剰に摂取しない
- 妊娠中の方、イネ科の植物にアレルギーをお持ちの方は摂取を控える
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