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アスタキサンチンはサプリメントや化粧品に含まれる成分です。ドラッグストアやネットショップでその名を見かけたことがあるかもしれません。アスタキサンチンはどのような働きを持つ成分なのでしょうか。今回は、アスタキサンチンの働きや効果的に摂取する方法などについて、詳しく解説していきます。

赤い色素成分、アスタキサンチンとは?

赤い色素成分、アスタキサンチンとは?

アスタキサンチンは、ファイトケミカルの一種です。ファイトケミカルは、「ファイト(=植物の)」と「ケミカル(=化学物質)」の合成語で、野菜や果物、豆類、海藻類など、植物に含まれる色素成分や香り成分をさします。自ら動くことのできない野菜は、紫外線や害虫などの外敵から身を守るためにファイトケミカルを作っています。

アスタキサンチンは赤色の色素成分で、藻類、エビやカニなど甲殻類、サケの身、タイやコイの表皮などに含まれます。ファイトケミカルの一種なのに動物に含まれる理由は、いわゆる食物連鎖によるものです。甲殻類はアスタキサンチンを含む藻類を餌にしているため殻に含まれ、甲殻類を餌にするタイでは表皮に、サケでは身の部分に多く含まれます。

アスタキサンチン自体は赤色ですが、動物に含まれるとたんぱく質と結合して灰色になります(※)。加熱によってたんぱく質が離れると、本来の赤色に戻ります。エビやカニを茹でたときに赤くなるのはこの現象です。
アスタキサンチンはファイトケミカルのなかでは、リコピンやβカロテンなどと同類の「カロテノイド」に属します。
※鮭の身が赤いのはアスタキサンチンを筋肉に蓄積しているためといわれています。

アスタキサンチンに期待できる効果

アスタキサンチンに期待できる効果

外敵から身を守るために作られるファイトケミカルは、抗酸化作用や殺菌作用があります。なかでも、ファイトケミカルを摂る上で注目されているのは「抗酸化作用」です。

ヒトの身体を作る細胞は、紫外線をはじめさまざまな刺激により酸化します。酸化は酸素と結びつくことによる変化で、たとえば、鉄の「サビ」が酸化による反応です。ヒトの細胞で酸化が起こると、シミやシワなどのいわゆる老化現象や、がんや認知症などを含む生活習慣病の原因になるといわれています。ですから、酸化を防ぐ「抗酸化作用」は健康を維持するのに重要だとして注目されているのです。

アスタキサンチンによる抗酸化作用

アスタキサンチンによる抗酸化作用

アスタキサンチンは、ファイトケミカルのなかでもとくに強い抗酸化作用を持っています。次のような働きを期待することができます。

美肌を保つ

前述のとおり、細胞の酸化はシミやシワを引き起こします。その原因のひとつは紫外線です。皮膚が紫外線に当たり細胞が酸化すると、メラニンという黒色色素の沈着が進んだり、肌のハリを保つコラーゲンを壊したりします。
アスタキサンチンは紫外線による酸化を防ぎ、肌への影響を抑える作用をします。

目の健康を維持する

ブルーライトや紫外線などによる有害な光は、眼の組織である網膜や黄斑部の細胞を酸化させます。そうすると、視力低下や眼の病気を引き起こしてしまいます。
アスタキサンチンの抗酸化作用によって細胞へのダメージを軽減し、眼の健康維持に働きます。

脳の働きを保つ

脳はその成分の約6割が脂質でできています。脂質は酸化すると働きが変化します。脳細胞が酸化すると、細胞自体の死滅や情報伝達の滞りによる物忘れ、記憶力の低下、認知症にも関係するといわれています。

アスタキサンチンの摂り方

アスタキサンチンの摂り方

アスタキサンチンは摂取量が決められているわけではありません。さまざまな研究によると、1日6~12mg程度が目安と言えるでしょう。

アスタキサンチンを豊富に含む食品は紅鮭で、切身1切れ(100g)に約3mg含まれています。そのほかにも、エビ、カニ、イクラなどがアスタキサンチンを含みますが、毎日多量に食べる食品ではありません。ですから、ほかのファイトケミカルを含む野菜や果物などと組み合わせて摂取する、またはサプリメントを活用するのもひとつです。サプリメントで補う場合は食事の後に摂るとよいでしょう。

なお、アスタキサンチンは脂溶性で、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。サケやエビ、カニなどは油で調理すると効果的に摂れます。

さらに、アスタキサンチンを含む抗酸化作用を持つ栄養素は、互いに影響しあうことで作用がよりいっそう高まります。色々なビタミン、ミネラル、ファイトケミカルを一緒に摂れるように、彩りを良くする、多くの食材を組み合わせるといった工夫をするとよいでしょう。

アスタキサンチンを摂る際の注意点

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アスタキサンチンによる副作用はこれまでに報告されていません。健康な成人の場合、アスタキサンチン1日あたり16mg を12週間、または1日あたり30mgを4週間摂取しても安全に取り入れることができたという報告があります。

食品に換算すると含有量の多い紅鮭で5切れ以上に相当しますから、これを毎日摂るということはほとんどないでしょう。しかし、サプリメントなどの濃縮物で一時的に多量摂取してしまうケースは考えられます。よって、サプリメントや強化食品を利用する際は用法容量をしっかりと守りましょう。

また、アスタキサンチンはエビやカニ由来の製品が多いことから、甲殻類アレルギーをもつ人は十分な注意が必要です。必ず原材料を確認し由来食品を調べてください。

アスタキサンチンは健康維持に働く栄養素のひとつです。しかし、アスタキサンチンの摂取により、肌荒れや眼の疾患などの症状を改善するというデータはありません。野菜などと同じように、あくまでも健康保持や疾患の予防に貢献する要素のひとつといえるでしょう。
野菜や果物などと組み合わせて、バランスのよい食生活をすることが大切です。

アスタキサンチンのまとめ

  • アスタキサンチンはファイトケミカルの一種
  • 赤色の色素成分で、藻類、エビやカニなど甲殻類、鮭の身、タイやコイの表皮に含まれる
  • アスタキサンチンはファイトケミカルのなかでもカロテノイドに属する
  • アスタキサンチンはファイトケミカルのなかでもとくに強い抗酸化作用を持つ
  • アスタキサンチンは紫外線による酸化を防ぎ、美肌を保つ
  • アスタキサンチンは抗酸化作用によって細胞を守ることで目の健康維持に働く
  • アスタキサンチンは脳の酸化を防ぐ
  • 摂取量は1日6~12㎎程度を目安にする
  • アスタキサンチンとほかのファイトケミカルを組み合わせて摂ることが好ましい
  • アスタキサンチンは脂溶性なので、油と一緒に摂ると吸収率が高まる
  • サプリメントによる摂取も一つの方法。一時的な過剰摂取には気をつける
  • 甲殻類アレルギーがある場合、エビやカニ由来のアスタキサンチン摂取には十分注意する
文/品川美容スタッフ

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