妊娠中期以降、お腹が大きくなってくると気になってくる妊娠線。妊娠線とはどんなもので、なぜできるのでしょうか?そのメカニズムや対策について解説します。
そもそも妊娠線ってなに?
妊娠線は「ストレッチマーク」ともいい、お腹が大きくなることで皮膚が伸ばされてできるヒビ割れのようなものです。専門的には「線状皮膚萎縮症(せんじょうひふいしゅくしょう)」や「皮膚伸展線条(ひふしんてんせんじょう)」といいます。
妊娠時以外にも、急激に体重が増えた場合には同じような症状が現れます。その場合には、「肉割れ」などとも呼ばれます。お腹や胸にできるのが妊娠線の特徴ですが、肉割れのようにお尻や太ももにもできます。妊娠すると必ず起こるというわけではありませんが、近年では妊娠中期以降の妊娠線に悩む方は増えているようです。
妊娠線ができやすい人っているの?
どんな人にでも妊娠線ができるということではありませんが、以下の場合にできやすいと考えられています。
・妊娠前から肥満体型である
・小柄な体型である
・体重増加が急激である
・双子や三つ子など多胎妊娠である
・母体の体型に対して赤ちゃんが大きめである
そのほかにも、運動不足や皮膚の乾燥なども妊娠線のできやすさと関連があるようです。
妊娠線が赤っぽく見えるのはどうして?
肉割れと異なり、妊娠線は赤っぽく見えることが多いようです。それはなぜでしょうか。
皮膚は、身体の表面側から「表皮」「真皮」「皮下組織」と3つの層になっています。
表皮は角質というレンガ状の細胞が積み重なってできています。外からの物理的な刺激や乾燥から身体を守る部分で、ある程度の力に耐えられるようになっています。たとえば、手の甲の皮膚をつまんでもヒビ割れができることはありません。
しかし、その下の真皮や皮下組織は皮膚の弾力をつくるコラーゲンやエラスチンといった線維が豊富な部分です。そのため、表皮よりも引き伸ばされる力に弱くなります。妊娠中の身体の変化に耐えきれずに亀裂が生じてしまいます。そのため、妊娠によってお腹が大きくなり、皮膚が持続的に引き伸ばされると、真皮にある線維が耐えかねて壊され、裂けて妊娠線ができてしまうのです。
皮膚の亀裂が入った部分よりも下の層には、毛細血管がたくさん走っています。その毛細血管が皮膚表面から透けるため、妊娠線ができた部分は赤っぽく(紫紅色)見えます。さらに、その部分を触ってみると凹んでいるのがわかります。
妊娠線の3つの予防法
見た目を気にする人も多い妊娠線。できることなら、防ぎたいものですよね。そこで、妊娠線ができるメカニズムに基づいた予防法をいくつか紹介します。
(1)腹部の保湿をしっかりと行う
ごく一般的な対処ではありますが、乾燥を避け、皮膚の伸展性を保つことが大切です。乾燥してから保湿をするのではなく、毎日コツコツと行い、常に潤っている皮膚を保つようにしましょう。そのためには、1日に2回以上の保湿がよいでしょう。
(2)柔軟性をよくするためにマッサージする
保湿剤を使用してマッサージを行い、血液循環を促したり柔軟性を保つようにしましょう。その際、皮膚に摩擦感があると、皮膚表面のバリア機能を弱めたり、かえって皮膚に負担をかけるため、保湿剤を充分に使用することを心がけましょう。
(3)体重の管理を行う
妊娠中の体重増加は、増えすぎも増えなさすぎも良くありません。妊娠してから出産までの適切な体重増加量は、妊娠前の体格などによって異なります。産婦人科の医師や助産師などに確認をして、ペース配分をしていくように気をつけましょう。体重は、皮膚への影響よりもお母さんと赤ちゃんの健康や出産に対する影響が大きいため、決して自己判断で管理することのないようにしましょう。
妊娠線ができてしまったら
これまで、妊娠線はできてしまったら仕方がない、と考えられてきました。けれども、最近では治療によって目立たなくすることもできます。たとえば、レーザーや高周波を使った美容皮膚科の技術による治療などがあります。
まとめ
- 妊娠線とは、妊娠によって大きくなるお腹や太ももやお尻、胸にできる皮膚のトラブル
- 皮膚が持続的に引き延ばされることによって、内側が裂けた状態
- 真皮層の弾力を保つための線維が引き伸ばされて亀裂を生じることでできる
- 予防法として、保湿やマッサージ、体重管理を心がける
- できてしまった妊娠線に対しては美容皮膚科治療という選択がある
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