「アスコルビン酸」は、食品やスキンケア製品、化粧品などの成分表示を見る方には聞き馴染みのある成分かもしれません。また、スキンケア製品に使用されていることから、健康や美容によさそうなイメージをお持ちではないでしょうか。今回はアスコルビン酸がどのような成分で、身体にどういった働きをするのか、詳しく解説していきます。
アスコルビン酸とは
アスコルビン酸は、合成ビタミンCとして日常的に取り入れられている成分です。アスコルビン酸は聞き覚えがなくとも、ビタミンCと聞けばピンとくる方が多いかもしれません。
アスコルビン酸は糖質の「グルコース」から作られています。多くの生物はグルコースからアスコルビン酸を自ら作り出す機能を持っているのですが、残念ながらヒトはその機能を持たないため、体内でビタミンCを作ることができません。
ですから食品から摂取することが必要で、不足すると身体の不調を引き起こしてしまうのです。
アスコルビン酸は食品に含まれるビタミンCとしてだけでなく、食品添加物の酸化防止剤としても利用されています。たとえば食品などの成分表示には、次のように記載されています。
・アスコルビン酸
・ビタミンC
・酸化防止剤(アスコルビン酸)
・酸化防止剤(V.C)
これらの記載を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
アスコルビン酸の働き
先にも述べましたが、アスコルビン酸は合成ビタミンCですが、ビタミンCと同じ働きをします。どのような働きをするのか見ていきましょう。
酸化を抑える
ブルーライトや紫外線、食品などの影響により、細胞は酸化します。細胞が酸化するとその働きが変化したり退化することで、老化を早めてしまいます。
酸化が肌で起こればシミやシワが増え、血管で起これば血管を硬くもろくさせるなどの影響を及ぼします。アスコルビン酸は自らが酸化することでまわりが酸化されるのを抑えます。食品が酸化されると品質が変わってしまうことから、酸化防止剤として利用されているのです。
コラーゲンを生成
皮膚や関節の土台となるコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。
メラニン色素の生成を防ぐ
シミの原因であるメラニン色素の生成を抑えます。
貧血を予防する
消化管内で鉄の吸収をサポートするので、貧血の予防に効果的です。
骨を丈夫にする
骨の主成分であるカルシウムの吸収をサポートします。
脂肪の分解を助ける
脂肪の分解に関与するカルニチンの合成に必要です。
このようにアスコルビン酸はさまざまな働きを担うため、不足するとシミやシワ、たるみ、貧血、代謝の低下、歯肉炎、肌荒れ、疲労感など、美容にも健康にも関わる不調を引き起こします。
アスコルビン酸を取り入れるときのポイント
食事によるビタミンC摂取に加えて、アスコルビン酸を取り入れる際には、次の3つのポイントを押さえましょう。
積極的に摂りたい人
次のような人はビタミンCが不足しやすい、または消費しやすいため、積極的に取り入れることをおすすめします。
・ビタミンCの摂取源となる果物や緑黄色野菜の摂取が少ない
・ダイエットなどで食事制限をしている
・タバコを吸っている
・日焼けをした
・強いストレスがかかっている
摂取推奨量を目安に
『日本人の食事摂取基準』2015年度版では、ビタミンCはアスコルビン酸量で摂取量を定めています。
1日の摂取推奨量は、成人男女で100mgです。アスコルビン酸は水溶性であり、過剰に摂取しても尿に溶けて排出されるため、過剰摂取による副作用はほとんどありません。
ただし1日に3000~4000mg以上摂ると、下痢などの胃腸の不調を引き起こす可能性があります。ですから、食事を含めて100~3000mgの範囲内で取り入れると良いでしょう。通常の食品から摂取することを基本とし、サプリメントからは1日1000mg以上は摂らないようにしましょう。
こまめに補う
アスコルビン酸は水溶性であるため、一度に多量に摂っても尿に溶けて排出されてしまい、溜めておくことはできません。ですから、毎食で果物や緑黄色野菜を取り入れることを基本としてください。食事で摂取できないときや紫外線を多く浴びたとき、タバコを吸ったあとなどには余分に取り入れるなど調節すると良いでしょう。
アスコルビン酸を上手に取り入れて、美しく健康な身体を維持しましょう。
アスコルビン酸のまとめ
- アスコルビン酸はビタミンCとして取り入れられている成分である
- ヒトは体内でビタミンCを作ることができず、食品から摂取する必要がある
- アスコルビン酸の働きには、「酸化を抑える」「コラーゲンを生成する」「メラニン色素の生成を防ぐ」「貧血を予防する」「骨を丈夫にする」「脂肪の分解を助ける」などがある
- 不足すると、シミやシワ、たるみ、貧血、代謝の低下、歯肉炎、肌荒れ、疲労感などを引き起こす
- 果物や緑黄色野菜の摂取が少ない、ダイエットなどで食事制限をしている、タバコを吸っている、日焼けをした、強いストレスがかかっている、などの状況に該当する場合は積極的に摂る
- 1日に100~3000mgの範囲中で補う
- こまめに摂ると効率的に体内で利用できる
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