「ティント」という化粧品をご存知でしょうか。ティントコスメの販売は、日本では2015年から行われています。ティントの知名度は上がっていますが、その使い方や内容については、まだよく理解されていないようです。この記事では、今後、更に普及する可能性もあるティントについて、そのメリットとデメリットを解説します。
ティントってなに?
英語でtintとは、絵画などで使う用語で、「色調・色合い」を意味します。色が染まる、陰影やぼかしという意味もあります。近年流行っている「ティント」はコスメ関連で使われている用語です。
もともとはアメリカで発明されたものですが、今、話題になっているティントは、韓国が発祥の化粧品がメインです。用途としては、「リップティント」や「眉ティント」などがあります。
リップティント:口紅との違い
口紅は唇の表面に口紅を乗せて色を使いますから、食事をしたり、飲み物を飲んだりすることで色が落ちてしまいます。しかし、リップティントは唇の角質に色素を浸透させ、色をつけるので、飲食しても色落ちがなく、リップティントをつけたままの色がキープできるのが特徴です。
また、個人の体温によって色合いが変わりますので、ティントをつけた人の血色が直接に唇の色に反映されます。ですから「同じ色をつけても人によって色合いが変わる」ことになります。「自分だけの色になる」というのもティントの魅力なんですね。では、リップティントのメリット・デメリットを見ていきましょう。
リップティント:2つのメリット
○色落ちしにくい
リップティントのメリットは、普通の口紅よりも色落ちしにくく、飲食後も塗り直しをする必要がないということでしょう。また、口紅はカップなどに紅の跡がついてしまい、あわてて手で拭くことがありますが、そのような心配はいりません。
○自分のイメージした色がつくれる
そして、口紅と比べると、自分のイメージした色を作ることができます。自分の肌色をもとに、重ね塗りをすることもできます。ですから、唇が薄いとか厚いとかといったことが気になる方には、それらをカバーするような塗り方ができるのです。
リップティント:3つのデメリット
それではデメリットは何でしょうか。見ていきましょう。
○肌を刺激しやすい
リップティントは、唇の角質にじかに色を塗るので、肌を刺激しやすくなります。唇は、元々皮膚よりも角層が薄く、皮脂腺も少ないため、乾燥しやすい状態にあります。その上、角層にティントを塗るので、さらに乾燥を招きやすい状態になります。ですから、敏感肌や肌が乾燥気味の人は唇の荒れを起こしやすいことになります。使用時は保湿用のリップクリームを塗るような注意が必要です。
○色素沈着が起こりやすい
リップティントは唇に色素沈着が起こりやすいといわれます。10時間ほどで色は落ちるといわれていますが、落ちない人もいるようです。落とすときは、オイル系の専用リムーバーなどを使用して、色素沈着しないようにしっかり落とすことも必要です。
ですから、リップティントは毎日使うよりは、旅行・デート・オーディション・面接など、ここぞという「特別な日」に使うほうが安全でしょう。
○発色までに時間がかかる
リップティントの場合、塗ってから10分ほどしないと発色しません。ですから、色合いをチェックするのに時間がかかってしまうことがあります。また、その日の体調、体温によって、変化するので、色味が違ってくるので、思うような色合いを出すための修正にも時間がかかります。また、唇の色が直接反映されるので、塗る前に唇を温める、口の運動をする…などで、血行をよくしておく必要もあるでしょう。
眉ティント:眉マスカラとの違い
では、眉ティントとはどんなものでしょうか。
眉ティントは、眉マスカラのように眉毛に色を乗せるのではなく、アイブロウペンシルやパウダーと同じように眉毛のラインの皮膚に色をつけるものです。アイブロウや眉マスカラは汗をかくとすぐに色落ちしてしまいますが、眉ティントだとクレンジングをしても、3日~1週間くらい色落ちしません。
眉ティント:2つのメリット
○日持ちする
商品にもよりますが、塗ったあと、3日~7日位効果が持続すると言われています。
○水にぬれても取れない
眉毛が薄い場合、プールや雨など、水にぬれても落ちることがないため安心感があります。
眉ティント:2つのデメリット
○塗って乾かすのに時間がかかる
商品にもよりますが、一般的な眉ティントは塗ってから乾かすのに数十分〜数時間を要し、手間がかかります。
○ベタ塗りに見える
ペンシルやパウダーと異なり濃さのコントロールが難しく、眉頭から眉尻まで同じ濃さに染まってしまうとベタ塗り状態になってしまいます。横から見ると、立体感がなく不自然な感じになってしまう場合があります。
眉ティント:気をつけたい成分
眉ティントの成分の中で、次のものは気をつける必要があります。
○フェキシエタノール
商品によって違いがありますが、フェキシエタノールという保存料・防腐剤としての成分が使われていることが多いようです。天然由来の成分ですが、「日本薬局方(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条に基づき、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の見解をヒアリングし定めた医薬品の規格基準書)」で100gの製品中1g以内という配合規制がしかれています。とくに、敏感肌の人にとっては避けたい成分です。
これまで、防腐剤にはパラベンが一般的でしたが、発がん性などの問題が浮上し、使用されなくなりました。フェキシエタノールはパラベンに代わる防腐剤として、現在、使用されているものです。それでも、微量に使用される分には問題ありませんが、長期間にわたって摂取することには警鐘が鳴らされています。
また、フェキシエタノールはパラベンと比べると殺菌能力が劣るため、濃度を高くして使用する必要があり、当初は、肌への負担が懸念されました。しかし最近では、低用量でも十分な防腐・殺菌効果が得られるとされています。それでも、肌トラブルを起こす危険性ははらんでいますので要注意です。
○EDTA-2Na(エデト酸二ナトリウム)
エデト酸二ナトリウムは化粧品の中に微量に含まれています。また金属製品の劣化を防ぎ、製品を酸化させないように酸化防止剤としての使用や、殺菌防腐剤の役割を果たすこともあります。経皮吸収をすると、ごくまれですが、皮膚や粘膜を刺激して、アレルギーを誘発するおそれがあります。
ティントはまだ実態がつかみにくい!
ティントコスメに関しては、日本製・フランス製のものも発売され始めていますが、主流は韓国製ということもあり、配合成分などの実態がつかみにくいものです。配合成分がわかるものは、この記事を参考にしてチェックを行うようにしてください。また、まだ発売されてから間がないので、長期間使用すると皮膚にどのような影響があるのかについても、ハッキリしたことはわかっていません。
よって2017年3月時点で言えることは、皮膚への影響を考えるとティントを長期間使用し続けることは余り好ましくない…ということです。特別な日に限定して使用するほうが無難だと言えますね。また、眉用のものを目のキワに使う、唇用のものを頬に使う…など、本来の用途とは異なる使用も行わないほうがよいでしょう。
ティント:まとめ
- ティントは皮膚に色を定着させるコスメ
- リップティントや眉ティントがあり、唇や眉に着色する
- リップティントは口紅と違って、色落ちしにくく、自分のイメージした色合いを楽しめる
- 一方、肌を刺激し、色素沈着が起こりやすく、発色までに時間がかかるという課題もある
- 眉ティントは眉毛ラインの皮膚を染めるコスメ
- 眉ティントには、日持ちすること、水にぬれても取れにくいというメリットがある
- 一方、塗ってから乾かすのに時間がかかったり、ベタ塗りに見えてしまう課題もある
- 含まれている成分の防腐剤のフェキシエタノールは、敏感肌には避けたい成分
- 含まれている成分のエデト酸二ナトリウムは、アレルギーを誘発するおそれがある
- 販売されて間もないので、ティントの実態はよくわかっていないことが多い
- 安全のためには常時使用よりも限定使用のほうが無難
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