このごろ、海外で注目されているサプリメントの一つに「DHEA」があります。
一部の製品では「若返り」効果が謳われていますが、果たして本当なのでしょうか。また、そもそもDHEAはどのような働きを持っているのでしょうか。詳しく解説します。
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の正体
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、男性ホルモンの「テストステロン」や、女性ホルモンの「エストラジオール」(エストロゲンの一種)の材料になるホルモンです。
おもに副腎の外側にある副腎皮質で作られています。DHEAは、脂質異常症や動脈硬化、認知機能の低下、骨粗しょう症、糖尿病などに対する有効性が認められています。
また、海外における動物実験やヒトに対する実験では、血液中のDHEA-s(DHEAの硫酸化体)の濃度が高いほうが、生存率も高いということがわかっています。
日本における研究でも、血液中のDHEA-s濃度が高い男性のほうが、相対的に生存率も高いと報告されています。
こうした結果から、DHEAは「長寿ホルモン」や「若返りホルモン」などと呼ばれ、注目を集めているのです。
さらに、DHEAが性ホルモンの材料となることから、最近では不妊治療への効果も期待できるとして、一部の医療機関で治療に取り入れられるようになってきています。
このように、長寿や若返りの効果が期待されているDHEAですが、その分泌量は思春期から20歳前後にもっとも多く、その後は加齢とともに減少していきます。そのため、海外などでは、若返りを謳ってDHEAを配合したサプリメントなどが販売されています。
DHEAの働き
DHEAやDHEA-sは、さまざまな生活習慣病の改善やエイジングケア効果が期待されています。ここで改めて、DHEAの働きをまとめておきましょう。
・免疫力を高める
・脂質異常症、動脈硬化を予防する
・筋力を維持する
・代謝を高める
・ストレスを軽減し、うつ症状を改善する
・卵巣機能を向上させる
・認知機能の衰えを防ぐ
DHEAとストレスの関係
先述のDHEAの働きには、ストレスや免疫力に関係する項目が含まれます。
性ホルモンの材料であるDHEAが、なぜストレスや免疫力に関与するのか、疑問に感じるかもしれません。実はDHEAは、同じく副腎皮質から分泌されるホルモン「コルチゾール」に対抗して、細胞を守る作用も持っています。
コルチゾールは、ストレスによって分泌量が増加するホルモンで、老化の要因ともいわれる活性酸素を発生させます。
DHEAは、このコルチゾールから細胞を守るために、ストレスが加わると分泌量を増やします。しかし、ストレスが高い状態が続くと、コルチゾールの分泌量が増えても、DHEAは減少するようになります。
つまり、過剰なストレスが続くことは、DHEAの減少を促進する要因になってしまうのです。
DHEAを増やすためには
私たちにとって嬉しい作用をたくさん持っているDHEAですが、お伝えしたように、加齢とともに減少していきます。
そして、過剰なストレスはDEHAの分泌量を減少させる原因になります。加齢を止めることは難しいですが、生活習慣の見直しによって、ストレスの軽減を図ることは可能です。DHEAを減らさないためには、次のような点に気をつけましょう。
質のよい睡眠をとる
睡眠は、DHEAやコルチゾールをはじめ、さまざまなホルモンの分泌に影響を与えます。睡眠不足が続くと、こうしたホルモンのバランスが乱れる原因となります。質のよい睡眠をとることを心がけましょう。
食事の内容を見直す
DHEAの分泌を促すためには、副腎の機能を高めることが重要です。
質の良いたんぱく質と脂質、食物繊維などを意識的に摂取しましょう。また、ビタミンCやパントテン酸、ナイアシンは、副腎機能の回復に役立つ栄養素です。一方で、糖質やアルコール、カフェインの摂り過ぎは、副腎疲労を招きやすいといわれています。こうした点に注意して、食事内容を見直してみてください。
ストレス発散方法をみつける
過剰なストレスは身体によくない…と分かっていても、ストレスをなくすことは困難です。
ですから、発散する方法を探すほうが現実的かもしれません。運動などをして身体を動かす、好きな趣味を楽しむ、友人とおしゃべりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけておくと良いでしょう。
DHEAのサプリメントには注意が必要
DHEAは、海外ではサプリメント(食品)として販売されているとお伝えしましたが、国内では認められていません。
なかには、個人輸入で海外のサプリメントを入手する人もいるようです。しかし、海外で販売されているDHEAは、安全性が充分に確立されていない製品や、DHEAの配合量が少ない製品も見受けられますので注意が必要です。
また、DHEAは筋肉に働きかける作用もあります。オリンピックなどではドーピング検査の対象となりますから、運動選手はとくに注意しなければなりません。
一方で日本の医療機関でも、不妊治療や男性ホルモンの分泌量増加を目的とした治療に、医薬品として用いられるケースがあります。
ですから、DHEAが気になる人は、個人輸入といった方法ではなく、まずは医療機関に相談すると良いでしょう。
「若返りホルモンといわれる「DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)」、 気になるその働きとは?」まとめ
- DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、男性ホルモンの「テストステロン」や、女性ホルモンの「エストラジオール」(エストロゲンの一種)の材料となるホルモンである
- DHEAは、脂質異常症や動脈硬化、認知機能の低下、骨粗しょう症、糖尿病などに対する有効性が認められている
- 国内外のさまざまな研究によって、DHEAが多い人は生存率が高いことなどが証明され、「長寿ホルモン」「若返りホルモン」などと呼ばれている
- 最近では、DHEAは不妊治療にも取り入れられている
- DHEAの分泌量は20歳ごろまでは増えるが、その後は減っていく
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