なんとなく身体に良いイメージのある「ビタミンC」。実際に、免疫力維持やエイジングケア、美肌づくりなどさまざまな効果があり、健康維持はもちろん、美容の分野でもビタミンCは活用されています。
一方で、充分な量を食事から摂取するのが難しいという一面も。そこでビタミンCを効率よく摂取する方法をお伝えいたします。
ビタミンとビタミンC
私たちの身体をつくる代表的な栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルで、これらは「5大栄養素」と呼ばれます。このうちビタミンは、身体の調子を整えたり、ほかの栄養素の働きを助ける役割を担っていて、身体に欠かせないものです。
ビタミン不足になるといろいろな不調が起こりますが、ヒトは身体の中でビタミンを作ることはできません。ですから、ビタミン不足に陥らないためには食事など、外から取り入れる必要があります。
ビタミンには水に溶けやすい性質「水溶性ビタミン」と、水に溶けにくく脂に溶けやすい性質を持つ「脂溶性ビタミン」にわけられます。ビタミンCは水溶性ビタミンで、化学名では「L−アスコルビン酸」といいます。
ビタミンCの働き
ビタミンCには、次のような働きがあります。
コラーゲンの生成
ビタミンCは、体内でコラーゲンを作るために必要な栄養素です。コラーゲンは細胞同士をつなぐタンパク質で、健康的な皮膚や粘膜を維持するために欠かせません。また、多くの人がご在知のように、コラーゲンは肌のハリや弾力のアップにも不可欠です。
抗酸化作用
ビタミンCには鉄の吸収を助ける働き「抗酸化作用」があります。抗酸化作用とは、増えすぎると有害な性質を持つ活性酸素から身体を守る働きのことです。この作用を持つビタミンCには、動脈硬化や心疾患などを防いだり、老化を予防する効果が期待できます。
免疫力の維持
体内に入ってきた細菌などと戦う血液中の白血球やリンパ球は、ビタミンCを多く含んでいます。そのため、日頃からビタミンCを摂取しておくことは免疫機能を維持し、風邪などの感染症を予防することにつながります。
シミ・くすみ予防
ビタミンCはシミの元となるメラニンの生成を抑制するため、シミやくすみ対策として活用されています。
このように、ビタミンCは健康な身体を維持することはもちろん、美容においても重要で、ぜひ摂ってほしい栄養素といえます。
ビタミンCの必要量
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人におけるビタミンCの推奨量を「1日あたり100mg」としています。ビタミンCを多く含む食べものは、野菜やくだもので、とくに豊富なのは、赤ピーマン(100gあたり170mg)やレモン(100gあたり100mg)です。
摂取が難しいビタミンC
水溶性であるビタミンCは熱に弱く、水に溶けやすい性質を持つため、料理の段階でかなりの量が失われてしまいます。さらに最近では、農薬やハウス栽培などの影響で、野菜に含まれるビタミンCの量が減っているという報告もあります。
またビタミンCは、食事から摂っても2〜3時間後には尿として体外へ出ていってしまいます。それだけでなく、ストレスや紫外線の影響で多く消費されることや、タバコによって体内のビタミンC貯蔵量が減ることも分かっています。
このように、身体に必要なビタミンCを充分に摂ることは簡単ではなく、毎日の食事の中で意識して摂ることや調理の際に工夫することが大切です。
なお、あまりにも過剰にビタミンCを摂取すると、腹痛や下痢といったトラブルが起こる可能性はありますが、普通の食事をしている分には摂りすぎることはほとんどありません。
効率よくビタミンCを摂るには
お伝えしたように、ビタミンCは野菜やくだものに多く含まれているため、日頃からバランスの良い食事を心がけ、炭水化物やタンパク質ばかりに偏らないように注意することが大切です。さらに次のことに気をつけることで、ビタミンCを効率よく摂ることができます。
しかし忙しい日々を送っていると、くだものや野菜を充分に摂れなかったり、コンビニや外食に頼りがちになることもあるでしょう。そのような場合は、サプリメントなどの栄養補助食品を活用するのも方法の一つです。日々の体調やライフスタイルに合わせて、こまめにビタミンCを補給しましょう。
・くだものや生野菜サラダなどを意識して摂る・下茹でが必要な野菜は短時間の加熱を心がけたり、スープにして汁ごと食べるようにする
・ビタミンCがでんぷんに包まれているじゃがいもやさつまいもは比較的熱に強いので、これらの食材を活用する
高濃度ビタミンCを点滴も登場!
ご紹介したポイントに注意したり、食事のバランスを意識することによって、一定量のビタミンCを摂取することはできるでしょう。けれどもたとえば免疫力の維持や疲労回復、美肌づくりなどにおいて、よりいっそうの効果を実感したい場合には美容医療のチカラを借りるのも一つの方法です。
美容クリニックなどでは、美白やエイジングケアを目的とした、「高濃度ビタミンC点滴」と呼ばれる治療を受けることができます。これはその名の通り、高濃度で安全性の高いビタミンCを直接、血管に点滴する方法です。食事から摂るよりも、ビタミンCがダイレクトに体内に行きわたるため、高い効果を期待できます。疲労回復はもちろん、美白効果やハリ・弾力のアップ、ニキビなどの改善といった肌への効果も期待できるため、オールマイティな治療法と言えるでしょう。
また、治療時間は1時間程度で、腫れや痛みがでることはほとんどありません。間隔をあけて繰り返すことでより高い効果を期待できるので、疲れやすさや肌トラブルなどに悩んでいる人は、選択肢の一つとして検討してみるとよいでしょう。
注意点として、腎臓機能の低い方、栄養状態の悪い方、糖尿病の方、人口透析中の方、G6PD欠損症の方は治療を受けることが出来ません。また必ずG6PD検査を受けていただき、 安全に点滴ができるかを判断します。
ビタミンCを健康な身体づくりに役立てよう
幅広く私たちの身体を助けてくれるビタミンC。いまいち疲れが取れない、体調を崩しやすい、肌トラブルがなかなか改善しない、という人は、いま一度食生活を見直し、意識してビタミンCを摂るよう心がけましょう。それでも効果を感じられない場合は、サプリメントを取り入れたり、美容クリニックなどで専門家に相談することも解決への近道です。健やかな身体づくりに、ビタミンCを役立てましょう。
まとめ
- ビタミンは5大栄養素の一つで、身体にとって欠かせないものである
- ビタミンCは水溶性ビタミンに分類され、水に溶けやすい性質を持つ
- ビタミンCはコラーゲンの生成、鉄の吸収など、多様な働きに関わる
- ビタミンCは身体の外へ排泄されるため、毎日コツコツと摂り続ける必要がある
- 熱に弱いなどの性質もあって、ビタミンCを充分に摂取することは簡単ではない
- 効率よくビタミンCを摂るには調理方法に注意するほか、サプリメントを活用するのも有効
- 美容外科などでは、高濃度ビタミンCを点滴の治療を受けることもできる
- 身体の不調を感じる場合は、食生活を見直すことや意識してビタミンを摂ることが重要
この記事の監修ドクター
品川スキンクリニック 品川本院
田中 智佐子医師
- 日本美容外科学会会員
- ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
- ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
- 日本美容外科学会認定 美容外科専門医(JSAS)
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