基礎化粧品の宣伝などでよく耳にするビタミンC誘導体。お肌に良さそうなイメージがありますが、具体的にはどういうものなのでしょうか?野菜や果物に多く含まれるビタミンCと同じものでしょうか?ビタミンC誘導体の実際の効果と摂取方法についてみていきましょう。
美しい肌にはビタミンCが欠かせない
ビタミンには、水に溶けて取り込まれる水溶性ビタミンと、油脂に溶けて取り込まれる脂溶性ビタミンがあります。なかでも今回注目するビタミンCは水溶性ビタミンであり、尿などとともに体外に排泄されがちなもの。こまめに摂取する必要があります。
ビタミンCはさまざまな働きを持っていますが、とくに「コラーゲン」と呼ばれるタンパク質をつくるためには必要不可欠です。その他にも、皮膚や粘膜の健康を維持するために役立ち、シワやたるみ、毛穴といった肌トラブルの予防、ニキビの改善、美白などの効果があり、美肌づくりの強い味方なのです。
ビタミンCとビタミンC誘導体の違いとは?
しかし、ビタミンCは食品からでは十分に摂れないことが多くあります。1日に必要な摂取量の目安は100㎎とされますが、レモン1個を食べたとしても含まれるビタミンCは20㎎程度。また、水溶性ビタミンのため体内に長く残らないうえ、ジュースやサプリメントでビタミンCを摂取した場合は、さらに早く排出されると言われています。肌トラブルの予防効果を求めるためには、ビタミンCを工夫して摂取する必要があるのです。
「それならば、ビタミンCを化粧品として肌に直接付けることができないか?」そのような疑問を多くの研究者が抱きました。しかし、ビタミンCの弱点である「空気に触れると酸化してしまいやすい」、「水に溶かすと効果が得られなくなってしまう」こと、また、刺激が強く、逆に肌のトラブルを起こす原因となることから、ビタミンCそのものをつけたとしても、肌のバリア機能によって浸透しない、という問題もありました。
そのような弱点を解決するために開発されたものが、ビタミンC誘導体。ビタミンC誘導体はビタミンCの効果を損なわず、幅広い化粧品などに活用できるよう開発された成分です。国内では1980年代半ばから、本格的に使われるようになりました。
ビタミンC誘導体を、美容成分として使うメリットとして、次のような特徴があります。
・肌の奥まで浸透する
ビタミンCに比べて浸透力が良いため、肌の奥にある角質層にまで届き内側から肌をケアする
・安定性や持続性が優れている
肌の奥に浸透してからビタミンCとなるため、安定的な効果が持続する。
・高い抗酸化作用がある
さまざまなビタミンC誘導体の見分け方を知ろう
・水溶性ビタミンC誘導体(リン酸アスコルビルMgなど)
即効性があり、ニキビや美白効果が高いと言われる。ビタミンCと比べて8倍の浸透力があり、効果が12時間持続。ただし、脂溶性に比べると浸透力が劣り、乾燥しやすい。高濃度のものは刺激が強く、紫外線に弱い面もある。
・脂溶性ビタミンC誘導体(テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなど)
肌への刺激が少なく、乾燥肌や敏感肌の人も使いやすい。ビタミンCと比べて20倍~30倍の浸透力があり、効果が24時間持続。水溶性に比べると即効性に劣る。紫外線に弱い面もある。
・進化型ビタミンC誘導体(APPS:アプレシエ)
浸透力、即効性ともに高く、皮膚になじみやすいし、刺激が少ない。ただし価格は高め。
このように、性質の違いによって特徴があり、同じ水溶性ビタミンC誘導体や脂溶性ビタミンC誘導体であっても、効果の異なるさまざまな種類が開発されています。美容効果を求めてビタミンC誘導体入りの化粧品を選ぶときには、自分の肌のタイプや、より求めたい効果をはっきりさせてから選ぶことが大切です。
ビタミンC誘導体を摂取するときの注意事項とは
美容効果の高いビタミンC誘導体ですが、誰もが問題なく使えるわけではありません。ビタミンC誘導体は、皮脂の分泌を司る機能があるため、乾燥肌の人は、皮脂の量が減って肌が余計に乾燥し、敏感になってトラブルを起こす原因となってしまうこともあるのです。
高濃度のビタミンC誘導体が含まれるものを使うときには、店頭でパッチテストをさせてもらうなど、自分の肌に合うかどうか確かめておくと安心です。化粧品には、ビタミンC誘導体以外にもさまざまな成分が含まれているため、きちんと内容を確認したうえで自分に合うものを選び、日々のケアに役立てましょう。
ビタミンC誘導体:まとめ
- ビタミンCは5大栄養素の一つで、健康や美容に欠かせない成分である
- ビタミンCを化粧品として活用するには、さまざまな弱点がある
- ビタミンC誘導体は、ビタミンCの弱点を克服し、化粧品などに活用できるよう開発された
- ビタミンC誘導体には高い浸透力や抗酸化作用があり、安定性・持続性に優れている。また水溶性や脂溶性などの特性があり、複数の種類がある
- 種類によってメリットやデメリットがあるため、自分にあったものを選ぶことが大切
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